Valencia に移ってすぐに加熱油を作り、
麻布を貼って、地塗りもした。
Xavier de Langrais の原書や Daniel V.Thompson,jr. のテンペラ技法書を読み、、
Max Doerner の混合技法はスペイン語版で勉強を始めた。
しかしすぐに
『処方が解れば絵が描ける』わけではないことを知る。
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材料や道具の吟味と共に
処方が生まれる背景に興味がわく。
美術巡礼で廻った先々で美術館の修復レポートも手に入れた。
画面の分析結果はとても興味深いが、
技法は一つの体系なので、分析とは別の方向性を持つ。
手仕事の再構築こそが求めていることだった。
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技術書や修復レポートは それからも増え続けたが、
いつのまにか「合ってるか間違ってるか」の発想は持たなくなっていた。
研究者になりたいわけではなかった。