
2020年04月24日
絵付けと釉薬
Valencia は焼き物の街でもあった。
イスラム影響下の陶工が金属光沢をもつ陶器などを作った。
スペイン陶磁研究家 Manuel González Martí のコレクションが
国立陶磁器博物館で見られる。
González Martí (1877-1972)によれば、
フランドル初期油彩画の中にValencia の焼き物が見出されるという。
『神秘の子羊祭壇画』中のイェルサレムについて指摘したのも彼だった。
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ルオーの絵を見るために東京の出光美術館にはよく通った。
小山富士夫と三上次男が収集した陶片室にも入り浸った。
ペルシャ陶器の専門家 三上次男が説いた『陶磁の道』を
西の端から眺めることになった。
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イギリスで中国陶磁にも触れて
陶磁器の絵付けと釉薬の大きな流れを俯瞰するうちに
初期油彩画の絵具層に、ある構造が見えてきた。
塗りの見本を作って美術館に持って行き、比べてみた。
近い効果が生まれたかもしれない。
まだ手掛かりに過ぎなかったが、とても嬉しかった。
posted by gomi at 06:32| 光
2020年04月26日
透過する光
釉薬も七宝もステンドグラスも初期油彩画も、
透過する光の魅力に満ちている。
深い色光を湛えた油絵の画面をつくりたくなった。
昔の技法を追いかけることは
自分の内なる技法を求めることに深化した。
歴史的に合っているかどうかは、さほど問題ではなくなった。
光を絵具層に取り込むことを想った。
絵具層に光が入り込み、画面奥で反射して戻ってくる。
塗り重ねの切っ掛けはつかんだが、
収斂させていかなくてはならなかった。
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42年後
2020年4月の今、
日に日に空気がきれいになっていくのがわかる。
遠くの八ヶ岳が初めて見る色になる。
多くの犠牲の上に、地球が美しさを取り戻しているようだ。
澄んだ水底のように透過する光が輝いている。
絵を描く。
posted by gomi at 06:06| 光