釉薬も七宝もステンドグラスも初期油彩画も、
透過する光の魅力に満ちている。
深い色光を湛えた油絵の画面をつくりたくなった。
昔の技法を追いかけることは
自分の内なる技法を求めることに深化した。
歴史的に合っているかどうかは、さほど問題ではなくなった。
光を絵具層に取り込むことを想った。
絵具層に光が入り込み、画面奥で反射して戻ってくる。
塗り重ねの切っ掛けはつかんだが、
収斂させていかなくてはならなかった。
*
42年後
2020年4月の今、
日に日に空気がきれいになっていくのがわかる。
遠くの八ヶ岳が初めて見る色になる。
多くの犠牲の上に、地球が美しさを取り戻しているようだ。
澄んだ水底のように透過する光が輝いている。
絵を描く。