2020年06月02日

10年


Valencia での数年間は、
修業方法を見出しただけだった。

初期油彩画技法再現のきっかけをつかんだとしても、
これから

膨大な資料を読み込み、処方を実践し、
デッサンを重ねて、

夢見た自分の制作につなげていかなくてはならない。
構造のある色と線の重なりへ。

本当の修業はこれからだとわかった。


一体何年かかるだろう。
注目している色彩論と顔料の選択の課題もある。

手仕事の修業であれば最低でも10年はかかる。
せめてその10年は生きさせてほしい。

Valencia のカテドラルの前で、水色の空を見上げて祈った。


地中海は描けなかった。
光も色も溢れていたのに。


生活はとっくに行き詰っていた。日本に帰るしかない。
1979年。絵を始めてから10年。

さらにゆっくりと進むしかないことを覚悟した。


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2020年06月09日

修業期間


日本に帰ってしばらくすると、
原材料が手に入る、当時唯一の画材店、

浦崎画材店の浦崎武彦さんに頼まれて
Rogier van der weyden の模写と制作工程を発表した。

そのことがきっかけとなり、
古典油彩画技法の勉強過程を教えることが始まった。

自分自身が山ほどの課題を抱えている中で。


いわば夢を共有する形のゼミナールに、
人が集まってくれた。

その中の何人かとは、今も共に勉強を続けている。
函館出身の画家、今井雅子さんもその一人だ。

小さな教室の形にもなり、
生徒さんを中心にして「絵画技法研究会」が発足する。


多くの人々が方法論を実践してくれたおかげで、
技法の可能性が広がった。

私自身の勉強も深まるのだが、
修業中であるがゆえに自作発表はせず、

プラド美術館にあった Jan Gossaert による聖母子像の
画面効果を再現することに力を注いだ。


posted by gomi at 11:33|

2020年06月17日

アヤメ

アヤメ.jpg
posted by gomi at 12:21| スケッチ

2020年06月18日

薔薇の蕾


ボーダーローズ・蕾.jpg


posted by gomi at 12:00| スケッチ

2020年06月23日

現代日本の画家


日本に帰ると東洋画の構造に関心を持った。

墨絵・日本画・漆絵 の
塗り重ねがどうなっているのかを調べると、

時代をさかのぼるにしたがって、
東洋画と西洋画には共通項が多くなることを知った。


あらためて現代日本の画家、
棟方志功・奥村土牛・小林勇 の仕事を仰ぎ見た。

棟方志功は自宅が作品展示場だったころ、
玄関に高田博厚先生の小品を見い出したことがある。

奥村土牛は構造の強さとともに、絵具の重ねに憬れを抱いた。
色の重ねで、空間の中での位置まで表現している。


冬青 小林勇 の絵が手元にある。

三越美術部で長く仕事をされた、
嶌田二三夫さんから頂いたものだ。

小林勇の書画は、若いころから大好きだった。

「人は年ごとに、年とってよくならなくてはならない」
『夕焼』という美しい文章がある。

高田先生は小林勇を信頼し、作品も交換したという。


posted by gomi at 13:13|