日本に帰ってしばらくすると、
原材料が手に入る、当時唯一の画材店、
浦崎画材店の浦崎武彦さんに頼まれて
Rogier van der weyden の模写と制作工程を発表した。
そのことがきっかけとなり、
古典油彩画技法の勉強過程を教えることが始まった。
自分自身が山ほどの課題を抱えている中で。
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いわば夢を共有する形のゼミナールに、
人が集まってくれた。
その中の何人かとは、今も共に勉強を続けている。
函館出身の画家、今井雅子さんもその一人だ。
小さな教室の形にもなり、
生徒さんを中心にして「絵画技法研究会」が発足する。
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多くの人々が方法論を実践してくれたおかげで、
技法の可能性が広がった。
私自身の勉強も深まるのだが、
修業中であるがゆえに自作発表はせず、
プラド美術館にあった Jan Gossaert による聖母子像の
画面効果を再現することに力を注いだ。