ソワーニュの森の端に基幹鉄道の駅がある。
Groenendaal (緑の谷) 駅。レンガ造りの美しい駅舎だが、
私のいたころはすでに無人だった。
駅前が森となり、
入っていくと坂の下に泉が連なっている。
泉から小川が流れ出し、水車小屋だった建物の横を通り
ヤン ヴァン・リュースブルック広場の池に注ぎ込む。
広場には城館があり、今は役場になっている。
池の対岸の丘の上に町の教会があり、
そこで大切な人の葬儀に参列したことがある。
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役場でこの町の歴史資料をもらい、
かつて「緑の谷」に重要な修道院があったことを知る。
開いたのが、ヤン ヴァン・リュースブルック Jan van Ruusbroec 。
この人が中世において大きな思想的役割を果たしたことを後に知った。
中世からの 絵画・音楽・神秘思想がこの緑の谷で一体化する。
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Groenendaal (緑の谷) 駅から、ヤン ヴァン・リュースブルック広場まで、
林の中をかつて路面電車(トラム)が走っていたという。
その軌道の跡が小道になって、
泉のマリアに祈りを捧げる一角があった。