2021年03月07日

緑の谷


ソワーニュの森の端に基幹鉄道の駅がある。
Groenendaal (緑の谷) 駅。レンガ造りの美しい駅舎だが、
私のいたころはすでに無人だった。

駅前が森となり、
入っていくと坂の下に泉が連なっている。

泉から小川が流れ出し、水車小屋だった建物の横を通り
ヤン ヴァン・リュースブルック広場の池に注ぎ込む。

広場には城館があり、今は役場になっている。

池の対岸の丘の上に町の教会があり、
そこで大切な人の葬儀に参列したことがある。


役場でこの町の歴史資料をもらい、
かつて「緑の谷」に重要な修道院があったことを知る。
開いたのが、ヤン ヴァン・リュースブルック Jan van Ruusbroec 。

この人が中世において大きな思想的役割を果たしたことを後に知った。

中世からの 絵画・音楽・神秘思想がこの緑の谷で一体化する。


Groenendaal (緑の谷) 駅から、ヤン ヴァン・リュースブルック広場まで、
林の中をかつて路面電車(トラム)が走っていたという。

その軌道の跡が小道になって、
泉のマリアに祈りを捧げる一角があった。


posted by gomi at 14:36|

2021年03月18日

この世のこと


画家のように魂の領域に踏み込むことが仕事であっても、
この世では画家も職業であり、個人事業主となる。

スペインでもベルギーでも画家としての労働許可を得たが、
それは社会に組み込まれる、あるいは組み込んでいただけることを意味する。

社会保障を受ける代わりに、税制にも従うことになる。

日本にいた時は全く無頓着だったが、
外国に出て初めてそうした課題に取り組むことになった。


滞在を続けるためには生活の証を示し、許可の更新を請わなくてはならない。
最初は戸惑ったが、
ベルギーで補佐してくれた会計士が実に優しい人で、

なにも分からない外国人に、懇切丁寧に教えてくださった。
何しろ収入と所得の違いすら理解していなかったのだから。

最終的にはどんな職業にもつける権利を得たし、
日本への帰国後、画家として開業届を出すことも自然にできた。


画家は社会的不適応者と受け取られがちだが、
それはこの世から少し離れたところで生きていくからで、

社会制度の中にも、それなりの居場所があることを知った。


posted by gomi at 18:45|

2021年03月30日

ヒレシャコガイ


ヒレジャコガイ.jpg


posted by gomi at 18:34| スケッチ