2021年03月18日

この世のこと


画家のように魂の領域に踏み込むことが仕事であっても、
この世では画家も職業であり、個人事業主となる。

スペインでもベルギーでも画家としての労働許可を得たが、
それは社会に組み込まれる、あるいは組み込んでいただけることを意味する。

社会保障を受ける代わりに、税制にも従うことになる。

日本にいた時は全く無頓着だったが、
外国に出て初めてそうした課題に取り組むことになった。


滞在を続けるためには生活の証を示し、許可の更新を請わなくてはならない。
最初は戸惑ったが、
ベルギーで補佐してくれた会計士が実に優しい人で、

なにも分からない外国人に、懇切丁寧に教えてくださった。
何しろ収入と所得の違いすら理解していなかったのだから。

最終的にはどんな職業にもつける権利を得たし、
日本への帰国後、画家として開業届を出すことも自然にできた。


画家は社会的不適応者と受け取られがちだが、
それはこの世から少し離れたところで生きていくからで、

社会制度の中にも、それなりの居場所があることを知った。


posted by gomi at 18:45|