制作していた大きな絵が、手から離れて行った。
満足して離れたのか、こちらを見捨てたのかはわからない。
いずれにしても、私はお役御免となった。
素材も、モチーフも、
向こうからくるものを受け入れ、従うだけになっている。
*
制作工程の微妙な変化も受け入れていくので、
一枚ごとに描き方が違う。
常に「最初の一枚」なので、
一期一会が続いていく。
*
好きなことをやってきたからだろう。
自分の小ささも、無能さも知ることになった。
今は、大きな流れに身を委ねていきたいと思っている。
委ねる覚悟を持っていたい。
*
庭にコリンゴの花が咲き、
ウワミズザクラもアズキナシも咲き始める。
その土地に合った木が、季節に沿って花を咲かせる。
自分の仕事もそうありたいと願っている。