2023年06月21日

帰っていく


母と義母の介護を通して
人と会う機会が増えた。

呼吸をするように絵を描いていたが

言葉は会話に費やされ
文章は生まれてこなかった。


人はいずれ死を迎え、体は分解される。
自我意識も消えていく。

絵を描くことから教わった
永遠とつながる感覚はどうなるのだろう。

生きている間に得た感覚とはいえ

生命の集合体のような宇宙意識は
生まれる前から在るはずだ。


私たちの心のうちには
『郷愁』としか呼べないものがある。

若いときには
ここではない何処かに行きたいと願う。

老いてからは
ここではないどこかに帰りたいと望む。


ゆっくりと、自己の死に帰っていく。
求めつつ、描き続けた

やはらかな夢の中に。


posted by gomi at 15:39|