手仕事に魅かれて店舗装飾のアルバイトに就いた。
大工仕事、壁紙貼り、塗装 の基本を教わった。
それらが後になって、昔の絵画技法を追いかけ
下地から絵を作っていく工程で、
どれほど役に立ったかわからない。
塗料の濃さに従った刷毛の扱いや、紙への糊引きや貼り込み
仕事の段取りや工夫。
失敗だらけだったのも良い経験だった。
言葉でも頭でもない、実践としての「手」仕事の世界。
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卒業後、小さな内装会社の設立にも加わったが、
数年で辞めてスペインに旅立った。
その頃の一人は、後に弦楽器の弓の制作者になり、
フランス職人の勲章をもらったという。