光に包まれた人に会った。
人生を知った貴族の女性だった。
*
あなたは、
これからもっともっと良い絵を描くでしょう。
けれど。
もっともっと困難な道を行くことになるでしょう。
*
お茶の時間を共にしてほしいと言われ、
世界各地の美術の話をした。
彼女のコレクションの中に
ブラックトップの土器があったのに驚いた。
日本では紅型の型紙を集めたという。
*
彼女の依頼で日本の首相夫人に
王立美術館を案内したことがある。
美術を志したことがあるというその人は、
専門的な技法の解説を喜んで聴いてくださった。
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転居することになった気高い人を
最後に水彩でスケッチした。
「ここに私がいます」
「この絵はあなたが持っていて下さい」
「そして、ときどき私を想いだしてほしい」
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