フランドル初期油彩画の傑作は、スペインに多く残されている。
Valencia の Patriarca 美術館にある
Dieric Bouts の十字架降下祭壇画の大きなサイズのものが、
グラナダの王室礼拝堂にある。
Valencia のものはコピーだという説もあるが、
見比べてみると Valencia のものの方がはるかに質が高い。
工房で大きな祭壇画を作る際の
親方による小下絵ではないかと思えるほどだ。
*
当時の制作は工房仕事なので、作品の帰属は難しい。
この絵も私が見た時は Van der Weyden に帰属されていた。
確かに色の深みは Dieric Bouts より Weyden に近いと思える。
Dieric Bouts は Van der Weyden の工房にいたと推測されている。
Van der Weyden は Van Eyck の影響を受けている。
*
Van Eyck は Valencia に来たとも言われている。
その風景からイェルサレムを想い『神秘の子羊祭壇画』に描き込んだという。
Valencia はフランドル初期油彩画家の影響の下にあった。
そして Patriarca 美術館十字架降下図の深い色味に魅せられた。