清澄な精神ゆえに
透明な絵具層の絵を描いた日本人画家がいる。
松本竣介(1912-1948)
宮沢賢治を愛し、
永遠へとつながる油彩作品を残した。
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戦争の時代で、外国にも行かない短い生涯だったのに、
樹脂やニスについて勉強したことが窺える。
堅牢な画肌は、
一片が残っただけでも美しさが伝わるだろう。
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15歳の頃、落合から中井にかけての段丘が好きで
夢見るように歩き回った。
中村彝が、金山平三が、松本竣介が、
あの辺りに住んでいたことを知らなかった。
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松本竣介の絶筆となった「建物」は、
私たち皆が帰っていく教会堂のようだ。
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