2021年08月31日

現世へ


精神世界を探求した神谷美恵子に
『生きがいについて』という著作がある。

「生きがいを感じる心」として
エミール・ヴェルハーレン の詩が載っている。

「すべてのもののなかにわたしは在る、
わたしをとりまき わたしにしみわたる すべてのなかに」
『よろこび』 ヴェルアーラン 神谷美恵子訳


新しい生きがいを精神の世界に見出す場合、
心の世界のくみかえが多少とも必然的におこるという。

彼女はそれを「変革体験」と名付ける。
「変革体験」は「神秘体験」であり、

「自然との融合体験」や「光の体験」でもある。
そして 現世 へともどってくる。

一般の人々とは多少とも異なった価値体系を採用する。
超現世的な心の世界で生きていく。

人類の一員となる。


マーテルリンク の『青い鳥』もまた
現世にもどる話だ。

青い鳥は最後に飛んで行ってしまう。
チルチルは「またつかまえてあげる」と言う。

遍歴による「変革体験」の結果、
チルチルが手にしたのは 幸せの見つけ方だ。


posted by gomi at 15:30|