精神世界を探求した神谷美恵子に
『生きがいについて』という著作がある。
「生きがいを感じる心」として
エミール・ヴェルハーレン の詩が載っている。
「すべてのもののなかにわたしは在る、
わたしをとりまき わたしにしみわたる すべてのなかに」
『よろこび』 ヴェルアーラン 神谷美恵子訳
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新しい生きがいを精神の世界に見出す場合、
心の世界のくみかえが多少とも必然的におこるという。
彼女はそれを「変革体験」と名付ける。
「変革体験」は「神秘体験」であり、
「自然との融合体験」や「光の体験」でもある。
そして 現世 へともどってくる。
一般の人々とは多少とも異なった価値体系を採用する。
超現世的な心の世界で生きていく。
人類の一員となる。
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マーテルリンク の『青い鳥』もまた
現世にもどる話だ。
青い鳥は最後に飛んで行ってしまう。
チルチルは「またつかまえてあげる」と言う。
遍歴による「変革体験」の結果、
チルチルが手にしたのは 幸せの見つけ方だ。