個展とは不思議なもので、
並んだ絵が自分自身を教えてくれる。
画材と手順について確認している自分がいる。
この50年で画材は大きく変わった。
天然の原材料が手に入りにくくなったことで、
製品の形になったものも変化した。
*
大切なイタリアの紙が製造中止になった。
和紙も知り合いの職人が漉くのをやめるという。
日本で小さな筆のメーカーで良いところを知った。
しかしドイツの筆でしか表せない表現もある。
膠も良いものが手に入りにくくなった。
鹿膠の復活を試みているところが日本にある。
油も北海道産の食用油で良いものもある。
*
どんなジャンルにも本物を志向する人がいる。
そういった人々が関わった品々が
絵として一堂に会する。
その場に立ち会うことができるのが幸せだ。