2022年02月04日

時に入る人


絵の前に佇んだ人がいる。
絵は彼岸と此岸をつなぐのかもしれない。

多くの大切な人々が彼岸に旅立った。永遠の時の中に入っていった。
彼らのまなざしの先に、絵が在ったことがある。


自然の中で絵を描いていると、自分が解体していくのがわかる。
自分も小さなエネルギーの集合体であり、絵もまたごく小さな渦巻だ。

「吾々には、自分の感覚に映じない要素が尚ほ澤山にある、
吾々は自分の知ってゐるより以上の大きなものを包含してゐる」

マーテルリンクは言う。『死後は如何』

原題『La Mort』の同じ箇所の訳には

「無意識の部分、つまり宇宙の一部を構成している部分は、広大で
意識の領域をはるかに凌いでいる」

というのもある。『死後の存続』


宮沢賢治の妹、トシの『自省録』に
「私は自分に力づけてくれたメーテルリンクの智慧を信ずる」
という文がある。

賢治とマーテルリンクの『宇宙意識』

絵は今も時の中に入った人々と重なり続けている。
風景の中で。星とともに。


posted by gomi at 15:01|