フランドルに住んでいた頃は、
夏になると芝刈りが日課になっていた。
ガラスハウスでのブドウ栽培が盛んだった丘で、
残ったハウスの一つを借りて日本野菜を作った。
庭の真ん中に大きなサクランボの木があり、
春にはたくさん花をつけた。
ソワーニュの森が見え、
リュースブルックが住んだ「緑の谷」からの流れが丘の下にあった。
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今は、浅間山の火砕流の上にできた雑木林に居る。
葉が落ちると八ヶ岳が見える。
ズミ(コリンゴ)、ウワミズザクラ、ツリバナの花が咲き、
まもなくコナラやクリ、ケヤキの葉が繁るだろう。
火砕流先端の下に川が流れ、
対岸には縄文遺跡がある。
振り返って少し上がれば浅間(あさま)神社があり、
室町時代の美しい社殿が格納されている。
ここには西と東をつなぐ東山道が通っていた。
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春の山菜や 秋のクリやキノコ。
実生のリンゴの木がゆっくりと育っている。