2020年11月22日

写真と絵


自然の中で光は多方向に反射している。

フィルターなどで整理することもできるし、
自分で光を選択することもできる。

表現において、工程が複雑になると
心情から離れるように思えるが、

制約があるゆえに
生まれる自由というものもある。


善養寺康之氏の写真を見た時、
写真にも内面の光が射すことを知った。

日本でも、スペインでも、ベルギーでも
善養寺さんの花の写真はアトリエで共にあった。


善養寺さんは亡くなられたが、日本に帰ってから
奥様と知り合う機会を得た。時折お便りをいただく。

ご主人の写真のカードに、
奥様ご自身の絵のカードが添えられている。

その柔らかな光の絵が素晴らしい。
そして全然、写真的ではない。


写真は写真だし、絵は絵だと思う。


posted by gomi at 15:49|

2020年10月17日

光に包まれた人


光に包まれた人に会った。
人生を知った貴族の女性だった。


あなたは、
これからもっともっと良い絵を描くでしょう。

けれど。
もっともっと困難な道を行くことになるでしょう。


お茶の時間を共にしてほしいと言われ、
世界各地の美術の話をした。

彼女のコレクションの中に
ブラックトップの土器があったのに驚いた。

日本では紅型の型紙を集めたという。


彼女の依頼で日本の首相夫人に
王立美術館を案内したことがある。

美術を志したことがあるというその人は、
専門的な技法の解説を喜んで聴いてくださった。


転居することになった気高い人を
最後に水彩でスケッチした。

「ここに私がいます」
「この絵はあなたが持っていて下さい」

「そして、ときどき私を想いだしてほしい」


posted by gomi at 15:33|

2020年10月03日

額装


眼がかすむようになり、
病院に行くと栄養失調だと言われた。

スペインでの労働許可をベルギーのものに変えるために、
ブリュッセルとマヨルカ島を行き来することが続いた。

まだEUになる前のことだった。


ブリュッセルには大きな画材店がある。
原材料が手にはいる昔ながらの塗料店もあった。

仕事の材料入手には困らなくなった。

画材店の額縁部門に一人、感性の鋭い人がいた。
経験が豊富で、扱う素材の製品番号もすべて頭に入っている。

王立美術館での模写の額装を頼んだ。
装飾学校を出ている彼は、自ら塗装を施してくれた。

結局20年近い付き合いとなり、
深い信頼関係が生まれた。


額装の確認のために、病院から電話をくれた。
その後、入院した彼には告げず私は帰国してしまう。

彼から教わったことは計り知れない。


posted by gomi at 11:06|