2020年06月09日

修業期間


日本に帰ってしばらくすると、
原材料が手に入る、当時唯一の画材店、

浦崎画材店の浦崎武彦さんに頼まれて
Rogier van der weyden の模写と制作工程を発表した。

そのことがきっかけとなり、
古典油彩画技法の勉強過程を教えることが始まった。

自分自身が山ほどの課題を抱えている中で。


いわば夢を共有する形のゼミナールに、
人が集まってくれた。

その中の何人かとは、今も共に勉強を続けている。
函館出身の画家、今井雅子さんもその一人だ。

小さな教室の形にもなり、
生徒さんを中心にして「絵画技法研究会」が発足する。


多くの人々が方法論を実践してくれたおかげで、
技法の可能性が広がった。

私自身の勉強も深まるのだが、
修業中であるがゆえに自作発表はせず、

プラド美術館にあった Jan Gossaert による聖母子像の
画面効果を再現することに力を注いだ。


posted by gomi at 11:33|

2020年06月02日

10年


Valencia での数年間は、
修業方法を見出しただけだった。

初期油彩画技法再現のきっかけをつかんだとしても、
これから

膨大な資料を読み込み、処方を実践し、
デッサンを重ねて、

夢見た自分の制作につなげていかなくてはならない。
構造のある色と線の重なりへ。

本当の修業はこれからだとわかった。


一体何年かかるだろう。
注目している色彩論と顔料の選択の課題もある。

手仕事の修業であれば最低でも10年はかかる。
せめてその10年は生きさせてほしい。

Valencia のカテドラルの前で、水色の空を見上げて祈った。


地中海は描けなかった。
光も色も溢れていたのに。


生活はとっくに行き詰っていた。日本に帰るしかない。
1979年。絵を始めてから10年。

さらにゆっくりと進むしかないことを覚悟した。


posted by gomi at 12:16|

2020年05月12日

デッサン


絵具の塗り重ねで、
深い色味と表現が可能になった。

絵具の置き方は、デッサン技法に重なることにも注目した。


銀筆・黒チョーク・白チョーク・赤チョーク
有色下地の上のデッサン。

これらは本画制作の描法に直結する。

細密な描写が可能な銀筆(銀線)による表現は、
柔毛細筆による線の集積(ハッチング)による描法。

黒チョークによるデッサンは、剛毛筆によるタッチを活かした描法に、

グレイ地の上の黒と白によるデッサンは、
半調子を塗った上に明暗を作る描法に、

黒・白・赤 3色を使うデッサンは、
黒で寒色、赤で暖色、白でハイライトを表現することにより、
暖色と寒色を使い分ける描法につながる。

併せて、デッサンの線の方向は筆の方向でもある。


そして描法を超えて最も重要なこと。

表面描写ではない形 (フォルム)
『構造の強さ』を追い求める。

昔の徒弟のように布を描くことから始めて、
Valencia の美術家たちが催す人体デッサン会に通った。



posted by gomi at 09:53|