ゲルマン人にもキリスト教は伝わっていた。
フランク王はローマのカトリックを受け入れたという。
6世紀、トゥールの司教グレゴリウスの『フランク史』に、
「森や泉や鳥や獣やその他のものから偶像を作り、
それらを神として崇拝し、またそれに犠牲を捧げる習慣であった」とある。
(東海大学古典叢書)
ゲルマンの汎神性は残り続けたのだろうか。
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7世紀、ケルト系のキリスト教が入ってくる。
アイルランド修道士の影響を受けた 聖アマン(St. Amands)が、
スヘルデ川を遡上しながら修道院を開いていく。
汎神性のゲルマンとケルト。
その混成地帯に重なるキリスト教。
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スヘルデ川を描きたいと思って、アントワープとゲントの間の街
St. Amands に友人と出かけて行った。
川が大きく湾曲した船着き場で、
我を忘れてスケッチをした。
描き疲れて川岸を少し歩くと、銅像が立っている。
銘板を見ると、
Emile Verhaeren エミール・ヴェルハーレン
高村光太郎が愛し訳した詩人は、St. Amands の生まれだった。