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2022年06月16日
静かな制作
来年9月まで、個展の予定が入っていない。
こんなに長く世の中との繋がりがないのは久し振りだ。
制作の段取りを見直し、
体力の衰えに合わせた日常生活を組み立てている。
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「世の中から離れるには芸術によるのが最も確かであり、
世の中と繋がるのも芸術によるのが最も確かだ」
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Valencia の水色の空に十年の時を願い、
四十年もの時間を与えられた。
幸いなことに静かな制作を続けている。
齢七十となったが、日暮れて道遠しという感慨はない。
どこかにたどり着きたいとは思っていなかったし
どこかにたどり着くとも思っていなかった。
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今朝、家の前を掃いていると、ハルゼミが落ちていた。
このところしきりに鳴いていたのは彼だったのだろう。
私もこのようにひとしきり絵を描いて、
光の中へ帰っていく。
何と幸せなことだろう。
posted by gomi at 11:48| 光
2022年05月20日
二つの庭
フランドルに住んでいた頃は、
夏になると芝刈りが日課になっていた。
ガラスハウスでのブドウ栽培が盛んだった丘で、
残ったハウスの一つを借りて日本野菜を作った。
庭の真ん中に大きなサクランボの木があり、
春にはたくさん花をつけた。
ソワーニュの森が見え、
リュースブルックが住んだ「緑の谷」からの流れが丘の下にあった。
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今は、浅間山の火砕流の上にできた雑木林に居る。
葉が落ちると八ヶ岳が見える。
ズミ(コリンゴ)、ウワミズザクラ、ツリバナの花が咲き、
まもなくコナラやクリ、ケヤキの葉が繁るだろう。
火砕流先端の下に川が流れ、
対岸には縄文遺跡がある。
振り返って少し上がれば浅間(あさま)神社があり、
室町時代の美しい社殿が格納されている。
ここには西と東をつなぐ東山道が通っていた。
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春の山菜や 秋のクリやキノコ。
実生のリンゴの木がゆっくりと育っている。
posted by gomi at 10:21| 地